Atelier IL COMFORTO column

​調整とネックの高さ 

調整について、少しだけ突っ込んだお話​

よく調整調整という言葉を聞くと思います。

俗に言う調整は、駒や魂柱、指板やナット、ペグと見える部分での調整を言いますがそれは一般。

バスバーは駒足から内側に何㎜とか、魂柱は駒から1.5㎜後ろとかいう話は基本的な表向きのお話です。

車に例えるならDがドライブ、Rはバックとかその程度のものです。

本質はここから

なぜネックは130㎜でストップは195㎜なのか、ただ2:3を維持する為なのか

そもそもなぜ2:3なのか。

ボディが適切とされている寸法はなぜ354~355mmなのか

横板はなぜ30㎜前後にしてるのか。

箱内部の容量はいくつなのか。

寸法に関しては

本に書いてあったから、過去こういう風に作られていたから…

カルテ(資料)にこう書いてあったから…

親方や師匠が言っていたから…で、終わる人が大半ではないでしょうか。

我々職人にとってそんな当たり前の寸法ですが、一つ一つの寸法に関心を寄せいろいろな側面から見ていくと

寸法の『本質』を知る事が出来ます

素晴らしい楽器を作り出す人、高値でも売れる人の楽器はたくさんの失敗とその『本質』を追求し

必ずその回答を持っています。

その回答の上でなくては一つも二つも上のクオリティの音を作り出すことは出来ません。

そういうきっちり計算されて作られた楽器を見ると本当に素晴らしいと思います。

 

私も『これは良い音の楽器だ』から『これは職人が緻密に計算設計した良い音の楽器だ』に変わるまで、

その楽器は緻密に設計計算されているかいないかを、本質を理解出来るようになるまでかなりの時間を要しました。

それは師匠などに教わった基準の寸法一つ一つに『なぜ?』を深く持たなかったし聞かなかった本質が見えなかったから。

もしかしたら師匠も知らない可能性もあります。

私の仕事はその計算をずらすような修理調整はせず、その計算された設計を立て直したり

維持させてあげり、音色を増幅させれるようにする事

綺麗な作りはもちろん大切ですが、音色や音響、振動減衰論を理解してる人のアーチは外も内も凄いです。

緻密な計算設計されたエンジンを持っているバイオリンはそれは高額ですが高額になる理由も価値もあります。

 

ここから題名であるネックの角度ですが

 

ネックの角度はなぜ26.5㎜前後とされてるのか、

 

26.5㎜前後では全然音が出ない楽器があります。​

それは知らずに作られた楽器だから。

 

逆もあります、例えば26㎜に設計されているのにリペアマンが27㎜でネックリセットし台無しにする。

それはリペアマンに知識と経験がないから。

1㎜の差は大き過ぎます。

結果的に最適が26.5㎜ならそれはコントロールしているとは言えません。

作る前、修理する前から結果がわからなければいけません

100万円でも300万円でも同じような楽器はたくさんあります。

計算した上での残念な音なら計算設計違いの楽器。

計算してないけど偶然良い音の楽器、それは幸運。

多分弾いた楽器、見た楽器、修理した楽器を合わせたら軽く2万艇は越えますが

未だに見たことのない設計の素晴らしい楽器と出会い感動します。

『本に書いてあった寸法だから、それが一般的だから』のレベルでの維持の仕事も大切ですが

もっともっと追求し続けなければなりません。

永遠に鑿を持つことが出来なくなる時まで勉強は続きます。

Atelier il conforto Official Website 神奈川県公安員会 古物営業許可番号    第452490002832号